アメリカツーリング紀行

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残り2日

不思議なことに、最後の二日間、つまり7月21日と22日は日記を付けていない、22日なんて走行距離さえ書いていないのだ。よほど疲れていたか、急いで寝てしまったのだろう。
ちなみに21日の走行距離は747kmで、記憶によると22日は820kmくらだったと思う、最後の二日間でラストスパートを掛けているのが判る。
この二日間の事も少し書いておこう。

もうすぐカリフォルニア州も終わり、オレゴン州に入るかどうか、というあたり、相変わらず空はカンカン照りだ、でもロス辺りに比べると全然涼しい、丁度いい気温、それがいけなかった。単調な直線ばかり走っているとどうしても眠くなってくる。俺はメットの中で大声を張り上げたり、歌を唄ったりしながらなんとか走っていた。
「長老の奴、大丈夫か?」
バックミラーを見ると、案の定フラついてる。対向車とすれ違うたびにハッとしたように頭を上げるが、またしばらくするとフラフラと蛇行運転になっていく。
「やべぇな・・・」と思っているところに前方から大型トレーナーが来てしまった。しかも3連だ。長老のKATANAのスピードが少しずつ落ちていき、フラフラーっとセンターラインに寄っていった、そこへ大型トレーラーが「ゴォー」っという爆音を響かせながら来たもんだから、さぁ大変、豆鉄砲をくらったハト(そんなハト見たことないが)のように慌てまくって、キョロキョロして、シャキッと走り始める。本当に期待に応えてくれる奴だ、とメットの中でニヤッとしたが俺自身、シャレにならんくらい眠かった、丁度そこにレストエリアのマークが見えたので迷わず入る。

「いやー・・眠かったなー 今の道ぃー」と俺が言うと
「ホントホント俺なんか5分くらい寝てましたよー」と長老が真顔で言う
「バッカお前、5分も寝てたら今ごろ死んでるよー」俺が呆れ顔で言う
「えー?そースかぁ・・5分くらいに感じたんですけどねぇーじゃ、3分くらいスかね?」
「10秒でも死んでるよ・・・」
オレゴンももうすぐ終わりというところ辺りで、しばらく山道が続き、途中で急に登りになり、目の前に結構高めの山があったので、また革ジャンを着ようと思って単車を停め、荷物から二人で上着を出している時に、長老がふと自分の単車のリアタイヤを見ると、すでにデッドラインが見えているのを発見し、「うおー!俺、こんなんで130も140も出してたんスかぁー!」と、マジで涙目になってた。
そのタイヤ交換のために急遽立ち寄って、そのまま泊まる事にしたローズバーグという町のショッピングセンターの白人の店員さんが日本語ペラペラだったのに驚いたり・・・そのローズバーグで入ったレストランのウェイトレスに長老の英語がうまく通じずに、長老が怒って黙り込んでしまい、俺が長老の分までウェイトレスの相手をしなければならなかったりなんてこともあった。
国境まであと一時間くらいのところで、陽が暮れかけて、その雨上がりの夕陽があまりに美しかったので、なんとか写真に残そうと良い場所を探して走っているうちに陽が落ちてしまい、目の前にある山を見て 「あの山越えたらもう一回夕陽が見えるはずだ」と全開で走ったけど結局、二度とその夕陽を見ることはできなかったり・・・

バンクーバーに着いたときのことはあまりハッキリとは憶えていない。
ただ満足感と疲労感が交じり合った複雑な心境だった、旅が終わった残念さも少しあった。
よく憶えているのは、アパートに戻る前に近くの日本人経営のラーメン屋に寄り、そこでたまたま会った友達が、俺らの荷物を積んだバイクを見て「どっか行って来たの?」と聞いた時 「おう! ちょっとサンディエゴまで」と答えたときの気持ちよさだ。
いつのまにか放浪癖がついてしまった。同じ場所にしばらくいると「あー遠くへ行きたい」と、つぶやくようになっていた。そしてとうとうこんな外国まで来てしまった。なんで来たのか、というと色々あるのだが、強いてあげれば、まぁソ連崩壊後の西側諸国の変化の観察やベルリンの壁崩壊によるヨーロッパの動きに対するアメリカの反応の観察や、英語力の向上など、人には言ってるが全部嘘だ。ただ「行きたかった」のである。
 外国に行きたかったのではなくて、日本を出たかったのかもしれない。外から日本を見て、悪口をバンバン言ってやろうと思っていた。でも実際にはいい所ばかり見えて悪口はあまり出てこなかった。

とにかく10日間という短い期間ではあったが一つの旅が終わった。
でもバンクーバーに帰ってきても俺にとっては毎日が旅のようなものだ、知らない国、知らない土地なんだから・・・・。
今度は横断もしたいし、できれば一周もしてみたい。もっと色んなところに行きたい。

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